為替相場や「介入」という言葉がついて回ります.米
国はことあるたびにこうして圧力をかけていますが,
本当に元は安すぎるのでしょうか?
本書のメッセージは,中国の経済規模の拡大と米中間
の貿易不均衡を背景とする「元切り上げ論」(実際に
若干ですが実現しましたね)には根拠が乏しいという
ものです.
それを裏付けるために,この本で詳しく説明されてい
るのが,「貿易黒字国中国」の実態です.
中国の「貿易黒字急拡大」は対米に偏っていて,決し
て全世界に対するものではないこと.中国経済は強い
と言われても,実は国内では失業が問題になっており,
脆弱な部分を大きく残していること.経済はいまだに
国有企業と外資系企業に支えられていること.日頃の
新聞ではなかなか見えない事実が次々と出てきます.
何よりも,都市部と農村部の経済・賃金格差が甚だし
いことが一番印象的です.中国は上海や北京だけでは
ないということを,この本は再認識させてくれます.
人民元と中国経済
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